先日、敬愛するシチリアのシェフ・トトが９４歳で天国に旅立ちました。
州都パレルモの料理界を牽引した偉大なマエストロ、grande Chef Salvatore Cascino。

マエストロの死去を知ったシチリアレストラン界は、喪に服しているとパレルモの地元紙で伝えられました。

私にとっては最高の恩師で、イタリアのパパのような方でした。

昨年クリスマスには、ビデオチャットで嬉しいご報告ができたところでしたので、ご家族から連絡をいただいた時には涙が止まりませんでした。

シチリア料理協会名誉会長も務めたと聞いていましたが、La Repubblica（イタリア最大の部数を発行する新聞）に掲載された訃報によると、君主や教皇、ハリウッドスター、サッカー選手をも魅了した料理人で、名声を博した多くのシェフたちを育て、料理界で伝説の存在だったと知り、若い頃のお写真なども拝見して、亡くなられた後に改めてシェフの凄さに驚きました。
私のイタリア料理修行の初期、2006～2012年に膨大なシチリア料理を教えて頂いたお陰で、私のイタリア料理はトトの味が基本となっています。

素晴らしい師匠に出会えたことは奇跡のような幸運だったと思います。

トトは、シチリア弁しか話さないので、当時簡単なシチリア弁は覚えました。

２月にベーシックでご紹介したシチリアの「カリフラワーのパスタ」の名前は今でもシチリア弁で覚えています。

今日作ったのは何？と聞かれて、私がシチリア弁で答えるとトトシェフは大喜びでした。
「YaeはだんだんSicilianaになってきたな」と言われたことを覚えています。

「Noi Siciliani …」

私達シチリア人はね…、

こんな風にシチリア料理やシチリアのことを色々教えてくださり、誇り高さとシチリア愛の深さをとても感じました。

料理だけでなく、力強く温かく、謙虚に生きる姿から多くのことを学ばせていただいた、人生の師匠に感謝の気持ちでいっぱいです。

今月は敬意を表して、マエストロ・トトの料理をご紹介しています。

語りつくせない思い出の中から少しエピソードをお披露目したり、写真もご覧いただいてます。

Con grande affetto a grande Maestro e grande Chef Salvatore Cascino resterai sempre nel mio cuore.

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